日本の国道における、ある意味”最大の難所”と言っても過言では無い、国道152号青崩峠。三大酷道や楢峠のような単に道が狭いということではなく、地球と日本の土木技術との闘いの場であります。
ここは中央構造線が走ることから非常に脆い地質であり、青い色をした岩盤が大雨の度に崩れて道を閉ざしたことから、この名が付けられています。古来より信州と遠州を結ぶ秋葉街道が通り、武田信玄が遠州侵攻の際にここを越えたと伝えられています。
1970年に国道に編入されてから半世紀が過ぎていますが、地質の特性から、未だに分断状態が続いています。現在は、やや東を走る兵越峠を越える道が迂回路として機能しています。
ここにトンネルで風穴を開けようという計画は昔からありましたが、1980年代に入り、三遠南信自動車道を通すために本格的な挑戦が始まりました。当初は兵越峠の下を通過する予定で、そこに取り付くルートとしてまず草木トンネルが建設され、1994年に供用開始となりました。
しかし、この兵越峠ルートは青崩峠と同じく地盤が極めて脆弱なことが判明、事業は振り出しに戻ってしまいました。これを受けて、地盤の硬い青崩峠の西側を通るルートに変更され、現在建設が進められています。
せっかく造った立派な草木トンネルは三遠南信道としては役に立たなくなってしまったため、自動車専用道路から一般道に格下げ改造が行われました。現在は国道152号として供用されています。
今回は、トンネル建設現場を横目に見ながら、迂回路である兵越峠を越えて浜松市水窪から飯田市南信濃まで走りました。
なお、峠では”国境”を賭けた盛大な綱引き大会が毎年10月の第4日曜日に開催されます(2020年はコロナの影響により中止)。
★ハイライト
15:50 青崩峠への分岐点
16:50 左手に建設中の青崩トンネル
17:12 草木トンネル(L=1311m)
19:14 国道152号と兵越林道の交点
27:18 兵越峠(静岡・長野県境)
42:31 兵越林道と国道152号の交点
★走行路線
・国道152号
長野県上田市から茅野市を経て静岡県浜松市に至る一般国道です。途中2箇所の分断区間があることで知られる路線です。
・兵越林道
標高1154mの兵越峠(ヒョー越峠)を越える道です。読み方は「ひょうごし」が一般的ですが、「ひょうごえ」とする資料もあります。1973年に林道として開通し、現在は浜松市・飯田市の市道に認定されています。なお、このルートは県道南信濃水窪線として長野・静岡両県で路線認定されていますが、両県とも2021年5月現在県道としては未供用となっています。
※一部風切り音が大きくなっているため、音量控えめでの視聴をおすすめします。
※撮影に当たっては、交通法規を遵守し安全運転を心がけております。
(広角レンズの特性により、実際よりスピード感のある映像となっています。)
Date : 2021-05-23
Camera : GoPro HERO 8 Black
3840 × 2160(4K) 60fps
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